1年生1学期のファイン課題の自画像油彩が終了しました。ほとんどの人が初めて描いた油絵だったようですし、もしかすると自画像を描いたのも初めてという人もいたのではないでしょうか。油絵も自画像も中途半端に慣れてくると逆に新鮮味がなくなったりすることがよくありますが、みんな手探りで描いていたためか作品からは新鮮な印象を受けました。
油絵具は豊富な色数に加え絵具の厚みや絵肌(マチエール)の質感の差など、作り出せる表情はかなりの幅があります。また自画像も構造的な要素に関してはかなり複雑なモチーフと言えるでしょう。それゆえにどう描き進めていくべきかが難しいと感じる人もいるかもしれませんが、結局のところ表現しようとしているものが人によって違うので油彩での進め方や見方といったものは人それぞれというのがファインアートの大前提です。大切なのは自分で見て感じたことをどれだけしっかり自信を持って描き切るかということです。
では前置きはこのくらいで今回の優秀作品をいくつか紹介していきます。
具体的な状況設定や演出などはとても積極的です。またメインの自画像はもちろん画面全体の四隅に至るまでしっかり描き切れているところがいいですね。手の逆光感や襟元の光のあたり方はリアリティがあっていいですが、顔で光のあたる面と陰となる面をもう少し大胆に分かりやすく見せられれば良かったのと、よく描きこんではいますが絵具がやや「塗り」っぽく見えてしまうので次回はもう少し面や形に対して「置く」というイメージを持って描くようにしてみましょう。
高校一年生とは思えないやや影のある雰囲気を醸し出した自画像ですね(笑)陰影の中に射す微かな光の演出がとてもかっこいいです。暗いグレーを基調にあまり余計な色味を使わないところが逆に潔く自分の作りたかったイメージに対して素直に描いた結果のように感じます。やや構図が下により過ぎたことと背景の暗さが簡単な黒に見えるのでもう少し抑揚(少し色味を含ませる、絵具を薄くするまたは厚く、何か描いてみるなど)を与えられるとさらによかったですね。
全体の色味や雰囲気を大切にしながら描き進めていますね。顔や髪の毛の繊細な描きこみも好印象です。繊細な自画像に対して少し荒々しい背景がまだ画面として調和がとれていない感があります。背景のところどころ暗さが沈み過ぎるところや、自画像以外で絵具の彩度や表情を意図的に変えたとしても丁寧な観察はもう少し心掛けましょう。つまりこの場合は馬をもうちょっと上手く描こうね。「うま」だけに(笑)
以上1年生の自画像油彩でした!お疲れ様でした!